ZBrush・ZBrushCoreの違いを分かりやすく比較
- ZBrushとZBrush Coreの違いってなんですか?
- 2つのタイプの価格や機能は何が違うの?
- ZBrush Coreから通常版にアップグレードできるの?
このような疑問を解決する記事を書きました。
ZBrushには通常タイプのZBrushと価格が安いタイプのZBrush Coreの2つがあります。
この記事ではZBrushとZBrush Coreを比較しながらその違いについて解説していきます。
ソフトの購入を検討している方は、この記事を読めば2つのソフトタイプの違いについて理解が深まると思います。
ZBrush Coreは通常より安いが機能制限がある
ZBrushは約10万円しますが、ZBrush Coreは約2万円で購入できます。ZBrush Coreのほうが圧倒的に価格が安いですが、いくつか機能に制限があります。
- 基本のモデリング機能制限
- 応用モデリング機能の制限
- ブラシの制限
- レンダリング機能制限
- データの読み込み制限
特にZBrushでの作業に影響がおおきい機能制限を5つまとめてみました。
ZBrush Coreは2万円とかなり安いと思いますが、これらの機能制限はスカルプトモデリングにおいてはけっこうな壁となります。
ZBrush Coreの機能制限を比較
それぞれの機能制限について表にまとめながら解説していきます。
基本のモデリング機能の制限
機能比較 | ZBrush Core | ZBrush |
---|---|---|
サブツール1つあたりの最大ポリゴン数 | 2千万ポリゴン | 一億ポリゴン |
ポリグループ機能 | △ | ○ |
マスキング機能 | △ | ○ |
デシメーションマスター | △ | ○ |
Zリメッシャー | △ | ○ |
Zモデラー | × | ○ |
メッシュ投影 | × | ○ |
ZBrush Coreではモデル1パーツの最大ポリゴン数が通常の1/5の2千万ポリゴンに制限されています。2千万ポリゴン以内でも十分リアルなモデリングは可能なので、よほどリアルなモデルをつくりたい人以外はあまり気にしなくても大丈夫です。
それ以降の機能制限はモデリング作業にかなり影響があります。
- ポリグループ機能
- マスキング機能
- デシメーションマスター
- Zリメッシャー
これら4つの機能はスカルプトモデリングで頻繁に使用します。ポリグループやマスキングなどは一部の機能が使えない制限ではありますが、作業時間が無駄にかかったり、そもそもできることの幅が狭まったりします。
デシメーションマスターの機能制限
デシメーションマスターはモデルに解像度を持たせて、その解像度を変化させながらモデリングをすることで、綺麗なデータを維持しながら作業を可能にする機能です。
基本は解像度のポリゴン数が自由に変更できるのですが、ZBrush Coreでは5つのあらかじめ決められたポリゴン数の範囲内でしか作業ができない仕様になっています。
高めのポリゴン数が設定できないので、かなり複雑なカタチをつくりたい人には厳しいです。
Zリメッシャーの機能制限
ZBrushには、モデリングをしやすくするためにポリゴンの流れを自動で整えるZリメッシャーという機能があります。(ポリゴンの流れを整えることを「リトポ」といいます)
2021アップデートからZBrush CoreでもZリメッシャー機能を使うことができるようになりましたが、基本的な一部機能のみが使える状態です。
より高度なリメッシュ機能を使いたい場合は、完全版のZBrushのほうがおすすめできます。
応用モデリング機能の制限
比較機能 | ZBrush Core | ZBrush |
---|---|---|
ギズモ3Dデフォーマー数 | 6種類 | 27種類 |
ファイバーメッシュ | × | ○ |
アレイメッシュ | × | ○ |
ナノメッシュ | × | ○ |
クリース | × | ○ |
エッジループ | × | ○ |
ライブブーリアン | × | ○ |
シャドーボックス | × | ○ |
UVマスター | × | ○ |
テクスチャマップ | × | ○ |
スポットライト | × | ○ |
ZBrush Coreの機能制限は、応用テクニックで使う機能になってくると基礎機能よりもたくさんあります。機能制限が多いので、通常版と比べていくつかのモデリング作業が難しくなります。
- スタッツや鱗パーツの作成
- リアルな髪の毛の作成
- メカなどのハードサーフェイスモデリング
- モデルのUV展開
モデルにリアルタイムで穴などを開けることができるライブブーリアンやエッジループの機能が使えないので、ハードサーフェイスモデリングなどが難しくなります。
また、UVマスターが使用できないのでZBrush Core上でUV展開ができません。
ZBrush Coreのブラシの制限
機能比較 | ZBrush Core | ZBrush |
---|---|---|
ブラシの数 | 36種類 | 300種類以上 |
カスタムブラシの読み込み | × | ○ |
ブラシストロークカスタマイズ | × | ○ |
ZBrush Coreで使えるブラシの数は通常版に比べて1/10の約30種類しか使うことができません。
ブラシの数が少ないと表現の可能性が減るわけなので、これはある意味縛りプレイです。モデリングで縛りプレイをするくらいなら素直に通常版を使った方がいいです。
また、Core版ではZBrushでつくられたカスタムブラシを読み込むことができません。プロがつくった便利なブラシもZBrush Coreでは使用できないと考えるとけっこうつらいですよね。
レンダリング機能の制限
機能比較 | ZBrush Core | ZBrush |
---|---|---|
レンダーパス | × | ○ |
BPRフィルター | × | ○ |
マテリアル編集 | × | ○ |
ZBrushにはレンダリング機能がついていますが、ZBrush Coreではレンダリング時のフィルター設定など制限があります。
また、レンダーパスに非対応なので、複数の種類のレンダリングをフォトショップでコンポジット合成することができません。
ZBrushにレンダリング機能はそこまで必須ではないですが、高度なレンダリングを体験したい人はZBrush Coreの機能制限に注意が必要です。
データの読み込み制限
機能比較 | ZBrush Core | ZBrush |
---|---|---|
エクスポート | OBJ, MA, STL, VRML | OBJ, MA, STL, VRML, FBX, PLY |
インポート | OBJ, MA, STL | OBJ, MA, STL, FBX, PLY |
GoZ機能 | × | ○ |
ZBrush Coreで作成したモデルを開く | ○ | ○ |
ZBrushで作成したモデルを開く | × | ○ |
ZBrush Coreではデータの読み込み書き出しに制限があります。とくに、FBXという拡張子に対応していないので注意が必要です。
FBX (Filmbox) は、Kaydaraによって開発され、2006年よりAutodeskが所有するプロプライエタリなファイル形式 (.fbx) である。 この形式は、デジタルコンテンツ作成 (DCC) アプリケーション間の相互運用性を提供するために使用されている。
FBX – Wikipedia
そのほか、ZBrush Coreでは通常版のZBrushで作成したデータを読み込むことができません。
学生などで、学校では通常版を使用しているが自宅ではZBrush Coreを使っている場合などは注意が必要です。(逆に、ZBrush Coreで作成したデータを通常版のほうで読み込むことは可能です)
ZBrush Coreから通常版にアップグレードできるの?
すでにZBrush Coreを購入しているかたもいると思いますが、通常版にアップグレードできるか気になるところですよね。
お持ちのZBrush Coreから通常版へアップグレードすることはできるので安心してください。
代理店しだいですが、1万から差額くらいの値引き価格でアップグレードを行うことができます。
ZBrush Coreは通常版より安いが機能制限が多い
ZBrush Coreは通常の1/5の価格で、ほんとに安いです。しかし、安いだけあって機能制限がかなりあります。
機能制限が許容できる範囲であれば購入しても問題ないと思います。あとから通常版にアップグレードもできるので、目的と機能面を照らし合わせながら購入を考えてみてください。