資料を見て絵を描くのはずるい? 参考、トレス、模写、3つの違いを比較
- 絵を描くのに資料を見るのはズルいと言われた
- 資料を参考にして絵を描いてはダメなんですか?
- 資料の参考やトレス、模写の違いって何ですか?
SNSなどで模写を投稿したり、資料を見ながら絵を描いたりする人はたくさんいると思います。おそらく上記のような疑問を抱いた人も多いんじゃないでしょうか
今回は、資料を見て絵を描くことやトレス模写についてくわしく解説していきます。一応プロのデザイナーとして、現場での資料取り扱いなどの例も挙げながら紹介します。
資料やトレス模写の扱いを正しく理解して、楽しい創作活動に活かしてみてください。
資料を見て絵を描くのはズルくない!
まずいきなりですが、資料や見本を見てイラストを描くことはまったくズルくないです!イラストを描くうえで資料の数は絵の説得力につながるほど重要なものです。
例えばライオンのイラストを描く場合、なにも見ないで描くよりも写真など資料を見て描くほうが正確で説得力のあるイラストになります。
実際にプロの制作現場でも資料を見ることはとても大切です。 書籍やさまざまなサイトを活用して資料を集めています。
資料を見て描く方法にはいくつか種類があり、おおきく分けると3つあります。
- 資料を参考にする
- トレスする
- 模写をする
資料を参考にするとき、トレス、模写のそれぞれには気をつけなければいけない点がいくつかあるので次で詳しく解説します。
仕事絵では資料の参考が大切
先ほどのライオンの例のように資料を参考に見てイラストを描くことは仕事でもよくあることです。
説得力のあるイラストを求める仕事の場面では資料を参考にすることはとても重要になってきます。しかし、元の写真とほぼ同じに描いてしまうと模写になるので気を付けましょう。
トレスや模写は練習の範囲なら問題ない
ポーズや構図、絵柄などの練習をするときに資料をトレス、模写することは全然問題ありません。
むしろ効率的な練習方法だと思うので前向きに考えてもらっていいと思います。ただ注意したい点は、仕事上でイラストを描くときに別の作品のトレスや模写をするのはあまりよくないということです。
参考、トレス、模写の違い
資料を見て描くことを大きく3つに分けて紹介しましたがそれぞれの方法の違いをより詳しく解説していきます。
資料を参考にする
イラストを描くときに資料を参考に見ながら描くことは頻繁にあります。資料を参考にすることは、仕事のイラストや、個人の趣味イラストなどどのような場面でも問題はありません。こちらの記事では資料集めに役立つサイトをいくつか紹介しています。
ひとつの資料のみを参考にするとパクり扱いを受けやすいので、複数の資料を参考にしながらイラスト制作に活用するのが良いと思います。
「参考にする」の例
A、B、Cのキャラクター、Dの車、合計4つの資料を参考にしてキャラクターイラストを描く場合。
Aのキャラの髪型とポーズを参考にする。B、Cのキャラの服装を参考にする。Dの車の一部デザインとカラーを衣装デザイン用に参考にする。 このように資料を参考にしてキャラクターデザインをする。
0から新しいデザインを考えるのはプロでも難しいことです。
そこで複数の資料からデザインのアイデアを参考にして、新しいデザインやイラストをつくります。イラストを描くうえで資料を参考にすること、資料の数はとても重要なのです。
資料をトレスする
そもそもトレスとはどういう意味なのでしょうか
トレース、トレス(trace)とは図面などにおける複写行為を指す。絵画の分野に置いて資料の上に別の紙を置いて透かし、それをなぞって写し取る行為をトレースと呼ぶ事もある。絵画分野において技術向上の為に行われる模写(reproduce)とは基本的に異なり、概念としては印刷などによる転写(copy)に近い。
wikipediaより引用
つまりトレスとはコピーに近い意味があります。
コピーに近い意味合いが強いことから分かるように、SNS上や仕事などで他社の作品をトレスしたものを公開するのは好ましくないです。しかし、自分の手の写真をトレスして作品に活かすなどのいわゆるセルフトレスならばそこまで問題はないと個人的に思います。
そのほかにもトレスは人体シルエットの学習において効率的な練習方法と思うので、個人の範囲ならばトレスは全然問題ないと思います。
資料を模写する
模写(もしゃ、英: reproduction, reproduce)とは、美術において、他者の作品を忠実に再現し、あるいはその作風を写し取ることでその作者の意図を体感・理解するための手段、方法。
wikipediaより引用
模写はもとの作品、作風の再現の意味合いが強いです。
そのため、「参考にする」ことと大きく違う点が作者自身のオリジナリティーがあるかどうかということです。模写と二次創作の違いをイメージしてもらえれば理解しやすいと思います。
SNS上で模写作品を公開することは問題ないですが、「○○作品の模写です」というように模写であることを記載しておいたほうが好ましいです。
資料を見て絵を描くことまとめ
写真やイラストなどの資料を見て絵を描くことは全然ズルいことではありません。
むしろ絵を描くことにおいて資料を見ること、資料の数は作品の説得力につながってくるので重要であることがわかります。
トレスや模写は練習の範囲でなら全然問題ないので、前向きに資料を見て絵を描きましょう!